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Reshare株式会社お知らせアートとの接し方
2024.10.29

アートとの接し方

このコラムでは、アートは、絵画を中心としたものに絞って書いています。
私は、会社員時代の上司に創造力が足りないとの指摘を受けた事をきっかけに、アートスクールに通っております。

ファッションに例えると

昔は、美術館って時間を持て余し、何をどうしたら良いのか?皆目わかっていませんでした。自身が通うアート教室の先生(武蔵美卒)に、美術館では、どうやって鑑賞したら良いか?と質問したところ、「好きにしていいよ。自由に感じたら良い。」と言われました。
いやいや、全くわからないから聞いたのに、とその時は思っていました。しかし、今なら先生の伝えたい事が理解できます。(多分)
先生は、芸術作品の捉え方に正解はないから、自由に感じたら良いってことを言いたかったのだろうなと。それは、例えるならファッションも同じで、好きな服着たらいいじゃんって事と全く同じですよね。しかし、ファッションは、多くの人が、年齢を重ねる過程で服を買う経験を通して、自分なりのファッションに対する向き合い方を、それぞれ形成していると思います。機能や価格、デザインや色味、ブランドなど何かしらの判断軸を持っている。生きていく過程で何度も購入し、着て履いて活動し、周りから褒められたり、ダメ出しされたりした経験をします。成功や失敗の経験値があるため、自分なり判断軸があるのだと思います。
美術館におけるアートとの向き合い方もファッションと同じと最近気がつきました。昔は、経験値も知識も少なさ過ぎて、自分なりの基準軸を持っていなかった。自分なりの視点を全く持っていないまま、美術館という場所に行って、中に入れば違和感を感じて、すぐに出ていたということです。それはまさに、服をほとんど買ったことがない人が、服屋に行って、ドギマギして、店員に話しかけられるのも恥ずかしくて、店をすぐに出ていた感じと同じです。

気づいたきっかけ

5年前くらいに、アーティゾン美術館(東京駅徒歩5分)に、美大卒の学芸員の方と一緒に見に行く機会を得ました。その時は、今でいう音声ガイダンスと同じような内容を、その方に横で説明してもらいながら絵画の鑑賞をしました。美術館は、絵画保存するため照度を一定以下にされているため、ところどころの説明文とか読みにくいですよね。来場者で、混雑していたらほとんど読めないです。私は、初めて、そんな不憫な思いもせず、美術館を回る事ができたのです。
その方に、画家の説明や、絵画の特徴などをご説明していただけました。具体的には、この画家は、お金持ちの出身であったため、友人らの絵画も買い支えたりしていたのだとか、この絵画は、右奥の水車の描き方に特徴があるとか、必要なタイミングで声がけしてくれました。そのように解説してくれたおかげで、絵画の見方が少しだけ理解し、楽しく回る事ができました。約2時間じっくり絵画を見て美術館にいたため、頭が少し痛くなりました。そんな経験は今までありませんでした。(絵画は、情報量が多いため、頭をたくさん使ってオーバーヒート起こしていたのです。)
この日以降、複数回の経験を通して、確かに自由に感じて、観るという意味を理解できた気がします。そのためには、一定の経験値、比較対象、知識があればこそだと再認識しました。

従来、美術館を楽しめなかったのは、
―美術に対する知識が乏し過ぎた。
―絵画を鑑賞する経験値が少な過ぎた。
という事ですね。

今では、月に1回程度、美術館に行ったりしており、経験値を積み上げることで、自分なりの視点が少しだけできていると感じています。

美術の環境

日本の義務教育における学生の教科は、今でも9教科です。(国語、数学、英語、理科、社会)これら5教科以外に、音楽、技術/家庭、体育、美術です。
子供の頃は、落書きしたり、鬼ごっこしたり、工作したり、歌ったりと満遍なく活動していたはずです。大人になると、音楽:Apple Musicなどのサービスを利用し好きな音楽を聴いている人がいる。技術/家庭:DIYで何か作ったり、料理をしたりする人がいます。体育:好きなスポーツをしたり、応援に観に行ったりします。美術:ファッションは、前述の通り、服は購入したりするでしょう。演劇、歌舞伎など観に行かれる方もいるでしょう。でもかなり少数なのではと思います。美術が、大人になるにつれて、社会生活で経験値を積み上げる環境が少ないのではと気が付きました。広義で映画も美術と捉えるなら、気軽に映画行こうよとなって、映画の話をする人が多くいると思いますが、美術館に行って、美術の話をしたりする人は、まだまだ少ないと感じています。

テレビを見る(受動的)と、本を読む(能動的)の対比と同じで、映画を見る(受動的)と、絵画を見る(能動的)。成長を加速させるには、能動的な活動が必要と考えます。ファッションセンスも経験値をベースに気づきを得ることが重要と思いますが、アートのセンス、生きるセンスを磨くのは、美術館に行って絵画を鑑賞することが良いツールなのだろうと感じています。

私自身、経験値も知識もまだまだ少ないです。少ない人の視点も理解できるからこそ、どうしたら良いのか?がわかった気がします。
まずは、一定の経験値を得るために、美術館に行くことをおすすめします。また、少し高くても、音声ガイドは使うことで、3倍は楽しめます。一定の経験値を積み上げると、もう自由に自分の判断軸で活動できるようになると考えます。

次回予告

“効率化”について書きたいと思います。